一日を思う10のお題
1 朝焼けまで、あと一時間
所詮この夜は只の泡沫。
誰も気付かず誰にも気付かれず、太陽に焼かれて消えていく。
「なればこそこの僅かな時間、共に座してはくれませんか死神殿?」
「お前の言葉は須らく、己が意を通したい誤魔化しの罠。
故に私は、従う気等微塵も無い」
そう言いつつも姿を消さぬのは、せめてもの慈悲か戯れか。
それでもウサギは喜びのあまり、耳を欹て寄り添えた。
触れたい望みのジレンマを抱え、ただ黙って太陽を待つ。
やがて、全ての夢を覚ます蹂躙者がやってきた。
Forestのうさぎーず。森の住人にとって夜明けは終わりの始まりでしかないかと。
2 早朝の戯れ
「お早うございます、チーフ」
「ああ、お早う」
自分がどんなに努力して早く出勤しても、この人より先に仕事に就けた試しがない。
まさかここで寝泊りしてるわけじゃないだろうしと思いつつ、何気なくその姿を目で追っていると。
「あ」
「ん? 如何した」
「いいえ、何でも」
自分より少し高いところにある頭の後ろ、不自然に一本立った寝癖。
思わず声をあげた自分を不審に思ったらしく振り向く相手に笑いで答えるが、
「誤魔化すな。答えろっ」
「勘弁してくださーい」
やはり彼に嘘をつくことは自分には不可能らしく、
その後、さくらが出勤してくるまでホールで笑いながら追いかけっこを続けた。
ボウケン青赤。うちのソータはよっぽどチーフの後姿を見るのが好きらしい(何)。
3 朝食後の小休止
ことりと新聞の向こう側に置かれたらしい容器が、
カップではなく湯のみだったことに気付いて顔を上げた。
「おい」
「はい?」
「何で今日は緑茶なんだ」
「あ〜、助さんのお友達から新茶、こ〜んなにいただいちゃいまして。
もしかして、三条さん日本茶嫌いでした?」
「…別に」
ただ朝食後はいつもコーヒーを飲んでいたし、今まで当たり前に出てきていたから意外だっただけだ。
色々と言いたい事を、芳醇な香りと一緒に喉の奥に飲み込んだ。
……緑茶も中々悪くない。
アバレ青赤。こうやって嫁の好みに慣れていけばいい(何の話何の話)
4 哲学の昼下がり
「つまり、世界っていうものは自分の脳が感じる部分しか存在しないもので。
本当に今ここに俺や兄さんがいるのかどうかは、誰にも解らないって事―――だっ」
びべしっ。
読んでいる本の解説を求められ、珍しくも嬉しいとそれに応えていたら、
いきなり容赦の無い掌が額に飛んできた。
「いきなり何…」
「寝ぼけたこといってんじゃねぇよ。今ここにいるだろうが、俺は」
いやそれを疑うのが哲学のはじまりであって、それすらも電気信号で説明されるべきもので。
「……………うん」
「よーし」
でも結局、人間は信じたいものしか信じないっていう結論。
本日の講義、これまで。
555青赤。兄に勝る世界は無し。
5 会いたい午後
羽村が、窓の外を眺めている。
どこか空ろなはずなのに意志の篭った目で、じっと。
相変わらず外が珍しいのかと思ったが、その視線は一点から全く動いていない。
一体何を見ているのかと興味が沸き、さりげなく木崎は立ち位置を移動して。
「…………あら」
何か納得したように、呟いた。
目線の先には、彼の同居人が通っている学校の建物。
「…如何した?」
「いいえ、何も」
小さな声に気づいたらしく、羽村が視線を移すがさらりとかわし。
面倒だけど、今日の残業は代わってあげようと木崎は一人で頷いた。
バベルはむとま。あえて羽村先生でやってみた。かゆー!(悲鳴)
6 俄雨と雨宿りの夕暮れ
「んじゃ、そろそろ帰るわ」
「ああ―――、待て」
立ち上がる時か、引きとめた時か。
縁側にぱらぱらと雫が降ってきた。急な雨脚は時が経つほどに激しさを増していく。
「こりゃア、もうちょい雨宿りだな」
「仕方ないだろう」
「何だ、お前が降らせたんじゃねェのか」
「馬鹿を言え」
悪態をつき合いつつ、茶を入れ直す為に如月は立ち上がった。
いくら水を司る星の生まれだとしても、そんな便利なことが出来るはずも無い。
―――祈ってしまったのは、事実なのだけれど。
魔人むらきさ。珍しく通い夫。
7 微睡む誰そ彼
西日がパソコンのディスプレイに反射したことに顔を顰め、芝浦は立ち上がった。
面倒だと思いつつ立ち上がり、ブラインドを下ろそうとして。
ソファにずうずうしくも寝そべっている生物が、僅かに身じろいだ。
目を覚ましたのかと思いきやそうでなく。
それなりに眩しい赤い日差しを浴びているのに、眉根ひとつ寄せることもなく。
見蕩れてしまうぐらい、安らかに眠っていた。
「…………枯れ草みてぇ」
脱色しすぎてぱさぱさの、光で透き通って見える髪にそう悪態を吐いてから、
わざと音を立ててブラインドをじゃっと下ろした。
相手の眠りを妨げるのを目的として。
無論、獰猛なケダモノが目を覚ました時には、隣の部屋まで退避していたのだけれど。
龍騎タケマメ。遊び、遊び。
8 星影にのびた影
「今日はちょっと、面白いもんが見れるかもしんないぞ」
そんなヒビキさんの言葉に期待して、テントから首を出している真夜中。
「今日ってさ、新月なわけよ。月が限界まで見えなくなる日」
「はい」
場所は草木の生い茂る山の中。僅かな虫の声と葉擦れの音しか聞こえない。
「そういう夜にあるのは、星の光だけで。弱いもんなんだけどさ―――ほら」
「あ…」
闇に目が慣れてしまったせいもあるのだろうけれど。
テントの壁に影が映っている。星の光で出来た、とても薄い影。
「中々乙だろ。普段は見えないもんだからさ。…皆には内緒でな」
この人と秘密を共有するのが嬉しくて、火照る頬を堪えて天を仰いだ。
響鬼アスヒビ。星空デート。
9 真夜中の誓い
「殿をこの天下に押し上げる為に、おれは死力を尽くそう。
この闇の中、どれだけ行けるかは解らんが、この腕で。
あや、勿論都督殿に比べるべくも無いが、学の方もな?
…笑うな甘寧!!」
口元が自然に緩んだのは、お前には出来ぬという嘲りではない。
なれば俺はその道を切り開く為に、今よりも一人多く二人多く、
敵を殺そうと思っただけだ。
蒼天甘りょも。わああああーまーい!!(じたばた)
りょもが一生懸命話してるだけにしか見えないけど実は仲良しなら良い(何)。
10 暁に想う
夜が明ける。
地平線からの太陽が、闇を押し上げて食い潰していく。
疎ましいと思っていたその光景を、愛おしく感じたのは何時頃か。
隣で眠っている桃色の髪が、光に当たって鮮やかになることに気づいた時か。
「…馬鹿げてる」
最初に口をついて出るのはやはり悪態で、それでも。
「僕はもう、闇の中には帰らない」
心地良い場所だったけれど、あそこにはお前がいないんだ。
ガンパレ夏祭。もう竜にならないなっちゃん。希望切望願望。
所詮この夜は只の泡沫。
誰も気付かず誰にも気付かれず、太陽に焼かれて消えていく。
「なればこそこの僅かな時間、共に座してはくれませんか死神殿?」
「お前の言葉は須らく、己が意を通したい誤魔化しの罠。
故に私は、従う気等微塵も無い」
そう言いつつも姿を消さぬのは、せめてもの慈悲か戯れか。
それでもウサギは喜びのあまり、耳を欹て寄り添えた。
触れたい望みのジレンマを抱え、ただ黙って太陽を待つ。
やがて、全ての夢を覚ます蹂躙者がやってきた。
Forestのうさぎーず。森の住人にとって夜明けは終わりの始まりでしかないかと。
2 早朝の戯れ
「お早うございます、チーフ」
「ああ、お早う」
自分がどんなに努力して早く出勤しても、この人より先に仕事に就けた試しがない。
まさかここで寝泊りしてるわけじゃないだろうしと思いつつ、何気なくその姿を目で追っていると。
「あ」
「ん? 如何した」
「いいえ、何でも」
自分より少し高いところにある頭の後ろ、不自然に一本立った寝癖。
思わず声をあげた自分を不審に思ったらしく振り向く相手に笑いで答えるが、
「誤魔化すな。答えろっ」
「勘弁してくださーい」
やはり彼に嘘をつくことは自分には不可能らしく、
その後、さくらが出勤してくるまでホールで笑いながら追いかけっこを続けた。
ボウケン青赤。うちのソータはよっぽどチーフの後姿を見るのが好きらしい(何)。
3 朝食後の小休止
ことりと新聞の向こう側に置かれたらしい容器が、
カップではなく湯のみだったことに気付いて顔を上げた。
「おい」
「はい?」
「何で今日は緑茶なんだ」
「あ〜、助さんのお友達から新茶、こ〜んなにいただいちゃいまして。
もしかして、三条さん日本茶嫌いでした?」
「…別に」
ただ朝食後はいつもコーヒーを飲んでいたし、今まで当たり前に出てきていたから意外だっただけだ。
色々と言いたい事を、芳醇な香りと一緒に喉の奥に飲み込んだ。
……緑茶も中々悪くない。
アバレ青赤。こうやって嫁の好みに慣れていけばいい(何の話何の話)
4 哲学の昼下がり
「つまり、世界っていうものは自分の脳が感じる部分しか存在しないもので。
本当に今ここに俺や兄さんがいるのかどうかは、誰にも解らないって事―――だっ」
びべしっ。
読んでいる本の解説を求められ、珍しくも嬉しいとそれに応えていたら、
いきなり容赦の無い掌が額に飛んできた。
「いきなり何…」
「寝ぼけたこといってんじゃねぇよ。今ここにいるだろうが、俺は」
いやそれを疑うのが哲学のはじまりであって、それすらも電気信号で説明されるべきもので。
「……………うん」
「よーし」
でも結局、人間は信じたいものしか信じないっていう結論。
本日の講義、これまで。
555青赤。兄に勝る世界は無し。
5 会いたい午後
羽村が、窓の外を眺めている。
どこか空ろなはずなのに意志の篭った目で、じっと。
相変わらず外が珍しいのかと思ったが、その視線は一点から全く動いていない。
一体何を見ているのかと興味が沸き、さりげなく木崎は立ち位置を移動して。
「…………あら」
何か納得したように、呟いた。
目線の先には、彼の同居人が通っている学校の建物。
「…如何した?」
「いいえ、何も」
小さな声に気づいたらしく、羽村が視線を移すがさらりとかわし。
面倒だけど、今日の残業は代わってあげようと木崎は一人で頷いた。
バベルはむとま。あえて羽村先生でやってみた。かゆー!(悲鳴)
6 俄雨と雨宿りの夕暮れ
「んじゃ、そろそろ帰るわ」
「ああ―――、待て」
立ち上がる時か、引きとめた時か。
縁側にぱらぱらと雫が降ってきた。急な雨脚は時が経つほどに激しさを増していく。
「こりゃア、もうちょい雨宿りだな」
「仕方ないだろう」
「何だ、お前が降らせたんじゃねェのか」
「馬鹿を言え」
悪態をつき合いつつ、茶を入れ直す為に如月は立ち上がった。
いくら水を司る星の生まれだとしても、そんな便利なことが出来るはずも無い。
―――祈ってしまったのは、事実なのだけれど。
魔人むらきさ。珍しく通い夫。
7 微睡む誰そ彼
西日がパソコンのディスプレイに反射したことに顔を顰め、芝浦は立ち上がった。
面倒だと思いつつ立ち上がり、ブラインドを下ろそうとして。
ソファにずうずうしくも寝そべっている生物が、僅かに身じろいだ。
目を覚ましたのかと思いきやそうでなく。
それなりに眩しい赤い日差しを浴びているのに、眉根ひとつ寄せることもなく。
見蕩れてしまうぐらい、安らかに眠っていた。
「…………枯れ草みてぇ」
脱色しすぎてぱさぱさの、光で透き通って見える髪にそう悪態を吐いてから、
わざと音を立ててブラインドをじゃっと下ろした。
相手の眠りを妨げるのを目的として。
無論、獰猛なケダモノが目を覚ました時には、隣の部屋まで退避していたのだけれど。
龍騎タケマメ。遊び、遊び。
8 星影にのびた影
「今日はちょっと、面白いもんが見れるかもしんないぞ」
そんなヒビキさんの言葉に期待して、テントから首を出している真夜中。
「今日ってさ、新月なわけよ。月が限界まで見えなくなる日」
「はい」
場所は草木の生い茂る山の中。僅かな虫の声と葉擦れの音しか聞こえない。
「そういう夜にあるのは、星の光だけで。弱いもんなんだけどさ―――ほら」
「あ…」
闇に目が慣れてしまったせいもあるのだろうけれど。
テントの壁に影が映っている。星の光で出来た、とても薄い影。
「中々乙だろ。普段は見えないもんだからさ。…皆には内緒でな」
この人と秘密を共有するのが嬉しくて、火照る頬を堪えて天を仰いだ。
響鬼アスヒビ。星空デート。
9 真夜中の誓い
「殿をこの天下に押し上げる為に、おれは死力を尽くそう。
この闇の中、どれだけ行けるかは解らんが、この腕で。
あや、勿論都督殿に比べるべくも無いが、学の方もな?
…笑うな甘寧!!」
口元が自然に緩んだのは、お前には出来ぬという嘲りではない。
なれば俺はその道を切り開く為に、今よりも一人多く二人多く、
敵を殺そうと思っただけだ。
蒼天甘りょも。わああああーまーい!!(じたばた)
りょもが一生懸命話してるだけにしか見えないけど実は仲良しなら良い(何)。
10 暁に想う
夜が明ける。
地平線からの太陽が、闇を押し上げて食い潰していく。
疎ましいと思っていたその光景を、愛おしく感じたのは何時頃か。
隣で眠っている桃色の髪が、光に当たって鮮やかになることに気づいた時か。
「…馬鹿げてる」
最初に口をついて出るのはやはり悪態で、それでも。
「僕はもう、闇の中には帰らない」
心地良い場所だったけれど、あそこにはお前がいないんだ。
ガンパレ夏祭。もう竜にならないなっちゃん。希望切望願望。