時計+人形

のんべんだらりんごった煮サイト

春の花

〜チューリップ〜



「ただいまー!! お〜い皆見て見て!」
「…うおっ」
「どうしたんだ魁、それ!」
「すご〜い! キレイ〜、いっぱ〜い!!」
「こんなにたくさんのチューリップ、一体どうしたの?」
「角の花屋さんがさ、売れずに残ったから捨てるって言ってたからさ。
そんなら俺がもらう! って全ー部持ってきた!
ほら皆にもやるって。芳香姉ちゃんはピンクだろ?」
「わーい、ありがと魁ちゃん!」
「蒔人兄ちゃんは緑だから〜…茎と葉っぱ?」
「なにーっ!!?」
「あはは、冗談だよじょーだん。はい、白あげる。
ちい姉はー、この赤と白の混じったヤツ」
「わ、ありがとう。きれい…」
「んで、俺が赤でー、ちい兄! はい黄色」
「…俺はこっち」(ひょい)
「あっ! 何だよ赤は俺のだってば!」
「るっせーな。魔法薬の材料に使うんだよ」
「えー、そうなのか?(むう)」
「本当に〜? 『赤』だから、欲しいんじゃないの〜?」(ニヨニヨ)
「っ…んなわけあるか!」(ぷいっ)
「え? どゆこと?」(きょと)
「「???」」



マジレン・小津兄弟(根底黄赤)。ぐわー長いよ人が多いと。
赤いチューリップの花言葉は「愛の告白」。黄色いチューリップのは「希望なき愛」(笑)。
でもちい兄はその手の事には詳しく無さそうだなー。芳香ちゃんとか麗ちゃんの方がきっと知ってる。







〜パンジー〜



風が暖かくなってくると、近所のプランターに一斉に青紫の花が咲き出した。
毎年見ているけれどあまり知らない花だな、と思って興味本位で調べてみたら。
「…これはまた」
どうにも心を擽る言葉を知ってしまって、つい。
「たっだいまー。お、何だこの鉢植え?」
「ナガレ兄ちゃんが買ってきたの。パンジーだって」
「早く咲かないかな〜」
「どういう風の吹き回しだよ、ナガレ兄」
「まあ春だし、安かったからさ。ちゃんと世話はするからいいだろ、兄さん?」
「そりゃ別に構わねえけどよ。花咲いたら俺にも見せろよー」
「うん、勿論」
貴方に見せる為に咲かせようと決めてしまいました。



555青赤。ナガレ兄が相変わらず恥ずかし乙女です(痛)。
パンジーの花言葉は「私を想ってください」(ワー)。まだ本懐遂げてない頃ですのん。







〜イチゴ〜



「ほらこれ、スペインのイチゴ畑ですよ〜」(写真を見せる)
「ほぅ」
「季節が合わなくて食べれなかったんですけど、花だけでも良いですよねっ」
「まあ…悪くはないな」
「ですよねぇ。ほらほら、こっちも見てください〜。可愛いでしょう舞ちゃん!」
「…舞はな」(写真には白い花で髪をあしらった親子の姿が)
「えー俺は可愛くないんですかぁ?」(冗談)
「何だ、可愛いと言って欲しいのか」(真顔)
「え、いや、そういうわけじゃないんですけど」(照)
「この花はお前に似合ってる」(真顔)
「三条さぁ〜ん、勘弁してくださいー」(真っ赤)
「…色々とな(にやり)」
「???」


アバレン青赤娘。舞ちゃん写真だけだけど。
イチゴの花言葉は「幸福な家庭」「尊敬と愛情」「誘惑」「甘い香り」などなど(笑)。
幸人さんがひたすらのろけていらっしゃる…!(ガクブル)
我ながら自分のアバレ創作はちょいハズレてると思います。でも負けない。(負けれ)







〜アヤメ〜



当たり前のように過ぎる毎日。
束の間の平和と解っていても、それを享受する心に偽りは無い。
欲を言えば、僅かに風通しの良い背中がほんの少し物足りなく感じることもあるが―――
それは自覚するのも癪なので気付かないふりをする。
たまの休日、のんびりと渋茶を啜りながら縁側で寛いでいると、玄関の方に人の気配がした。
立ち上がり向かいながらその気配を吟味する。普通の人間の気配。
当然身の程知らずの狼藉者ではないし、良く顔を出す気の置けない友人達でもない。
思ったとおり、そこに居たのは最寄の宅配便屋だった。
―――その両手にあらん限りの、紫色の花を抱えて。
「…これは…」
「はい、こちらの如月翡翠様宛です。判子お願いしますー」
機械的に判を押し、手渡してもらった花を抱えてどうにか戸を閉める。
無作法だと解っているけれど、我慢できずにその花を全部畳敷きの茶の間にぶちまけた。
「…あの、馬鹿」
悪態をつきながらも、顔が火照っていくのが止められないのが悔しい。
「僕がお前みたく生けられるわけないだろうが…! とっとと帰ってきて全部片付けろ!」
不意打ち過ぎる贈り物に、どうにかそう吐き出す事しか出来なかった。



魔人・村如。2004年春頃、この後すぐ村雨帰ってきます(悦)。
アヤメの花言葉は「良い便り」「信じるものの幸福」「消息」。読まれてるよ如月!(笑)
自分がちらりと寂しいとか思ったときに必ず存在を主張されるからどうにも悔しいらしく。
それが出来るのは村雨の強運ゆえ(笑)






〜スズラン〜



「あ、かわいー」
不意に庭の隅にしゃがみこんで、彼女が呟いた。繋がれた腕を引かれ、片膝を折った自分もその視線を追う。
はたしてそこには、白い小さな釣鐘を揺らす花がひっそりと咲いていた。
「これ留架が種蒔いたの?」
「いえ、記憶にありません。自生しているかと」
「へー、じゃあ摘んでもいい?」
「構いませんよ」
「やった」
自分の言葉に喜色を浮かべ、何の躊躇いも無く彼女は一房ぷつりと摘んだ。
音無く揺れる白い鐘を、アクセサリーのように胸元にあしらう。
「似合う?」
「とても良く、お似合いです」
「へへー」
子供のようにはにかむ笑顔の彼女の肩を、そっと抱き寄せる。
白く貞淑な姿のまま、「純潔」という言葉を冠する花。
しかし同時に、その根の中に殺めの毒を孕んだ美しくも恐ろしい花。
まさしく彼女に相応しい。
愚かなことを思った自分の心など知る由も無く、腕の中で彼女はやはり幸せそうに笑っていた。



オリジナル・鳥篭天使の留架×亜輝。ドリーミンポエマー留架本領発揮(何)。
今回のネタの為に初めて調べたんだけど、スズランて本当に亜輝ぽいかもしれん。
お姉ちゃんの百合より小さくて雑草扱いもされてて、且つ毒持ちだけど可愛いってとこが(笑)