時計+人形

のんべんだらりんごった煮サイト

HEAVY GAUGE

あの血塗れの島を有する息苦しい国から飛び出して。
自由を謳い文句にするこの国に来てしばらく経つ。
それなのに、眠れなくなる。
思い出してしまう、あの指先を。






自分の身体の上を滑っていく濡れた感触に、鼓動が跳ね上がる。
上がる息を吸い取られる様に口付けられたことも、覚えている。
忘れない。
忘れるわけがない、
痛いぐらいに愛された記憶。


「三村」


名前を呼べば、いつもと同じ皮肉げな笑みを浮かべて。
そのまま自分の体温を上げることに終始する、その仕草に溺れて。





抱く
抱かれる
抱き締める
愛す
愛する
愛される
繋がる
繋がって
そのまま



目が覚めた。



「………うッ……」



どうしようもない虚無感を、決して忘れることはない。
忘れることなど、絶対に出来ない。



「…してる……」



届かない言葉を、呟く事しか出来ない。



「愛してる……三村ァっ……」